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FreeBSDにおける，Tcl の ports/packages について
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田口 毅 taguchi@tohoku.iij.ad.jp
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本文章では，FreeBSD環境におけるTclの特徴的な部分をまとめる．
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1. インストールされるファイルについて．
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FreeBSD上では，数多くのプログラムが標準配布に組み込まれており，それに
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加えて1200を越えるプログラムが，ports/packages の仕組みを用いて提供さ
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れている．
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その中には，Tcl/Tk自身や，それらの拡張，および，それらを用いたいくつも
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のプログラムが含まれる．
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ここで問題となるのは，流通している Tcl/Tk には，様々なバージョンが存在
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する，という事実である．そして，前述のプログラム群が用いているTclやTk
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のバージョンは1つではない，という，リリースエンジニアリング的にやっか
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いな現実がある．
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例えば，あるプログラムAはTcl7.6の日本語版を用い，プログラムBはオリジナ
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ルの Tcl8.0を，そしてプログラムCは，オリジナルのTcl7.5を用いている，と
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いうことが有り得るのだ．
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そこで，FreeBSD では，さまざまな議論に基づき，ユーザが使用し得るすべて
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の版のTcl/Tk が同時にインストールされうるようにしている(一部，完全では
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ないかもしれないが，少なくともそれを目指している)．
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そのために，標準のTcl/Tkとは，一部のファイルのインストールされるディレ
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クトリ階層が異なっている．
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だが，安心してほしい．Tcl/Tkを用いるFreeBSD上のports/packagesは，その
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変更されたインストール場所を前提に動作する．従って，ports/ packagesを
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用いるユーザは，その変更を意識せずに済むだろう．
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問題となるのは，未だports/packages化されていないアプリケーションをイン
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ストールする場合だろう．そこで，以下に，何が標準と異なることになるかを
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述べる．
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相違があるファイルで重要なものは以下の2個であり，それぞれ以下の場所に
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インストールされる．
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ファイル名 インストール場所 デフォルトの場所
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tclConfig.sh @prefix@/lib/tcl@TCL_VERSION@ @exec_prefix@/lib
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tcl.h @prefix@/include/tcl@TCL_VERSION@ @prefix@/include
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多くの場合，これらのファイルを正しく見つけられるように，インストールし
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ようとするプログラムのconfigureスクリプトや，Makefileを書き換えれば，
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正しくインストールできるだろう．そして，そうした作業を行った場合は，是
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非ともports化し，FreeBSDにcontribしてほしい．また，ports化が難しい場合
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は，是非ともpatchを作成して，FreeBSDのMLに投稿してほしい．そうすること
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によって，多くの人々が救われるかもしれないからだ．
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なお，Tclのソースに含まれるヘッダファイル群は，すべて，
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@prefix@/include/tcl@TCL_VERSION@
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以下の階層にインストールするようにしている．コンパイル時にTclのソース
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のパスを指定する必要のある多くのプログラム群は，単にそれらヘッダファイ
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ルを見る必要があるだけな場合が多いので，ここからヘッダファイルを
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includeするようにすると，おしゃれだろう．
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これは日本語版に限った話であるが，日本語版tcl8.0では，オンラインマニュ
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アルページ(manファイル群)のインストールを行わないことにした．これは，
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そのファイルが非日本語版のそれとまったく同じであり，かつ，同じ場所にイ
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ンストールするしかないものだからである．従って，manファイルを参照しよ
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うとする場合は，非日本語版のtcl8.0もインストールしてほしい．
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もっとも，portsを使ってインストールする場合には，
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# make install-man
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と入力すれば，manファイルはインストールされてしまう．ただし，portsの枠
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組みを越えた機能であるため，pkg_deleteコマンドでja-tcl-8.0 を削除しよ
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うとしても，manファイル群は削除されないので，注意が必要である．
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本質的(かつ，一番幸せ)な解決策は，すべてのmanファイルを日本語訳し，そ
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れをjmanで読めるディレクトリにインストールすることであろう．manファイ
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ルの訳を完成した人は，是非とも私に一報いただきたい．それに対応した形に
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portsを作成し直したいと思う．
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2. その他の相違点
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Tcl/Tk は，Scriptics社によって保守されているが，インターネット上でも
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comp.lang.tclを中心に保守が行われている．そして，そこでは，正式なバー
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ジョンではまだ修正されていないバグのfixも行われている．
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こうしたバグ報告は，
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http://www.cs.uoregon.edu/research/tcl/patch/
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にまとめられている．いずれ，本家にも反映されることが期待されるfixであ
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るが，とりあえずja-tcl-8.0 では，これらのfixも独自に反映させることにし
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た．従って，FreeBSDのports/packages版は，より安定して動作することが期
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待できるかもしれない．
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